内容にネタバレを含みます。内容を知りたくない人は読まないください。

湊かなえさんの小説『Nのために』

湊かなえさんらしい、切なさの残るストーリー展開でしたね。

ただ、それぞれの人間関係や事件の真相について、少しわかりづらい部分もあります。

時系列も、現在や事件前、十年後に飛んだりと、まちまちに進んでいきます。

そのため、この記事では、『Nのために』の内容をネタバレで、相関図を使いながらわかりやすく解説します。

また、それぞれの“N”が抱える想いや、疑問が残る内容についても徹底考察。

ユク

読後の思いを共有しましょう!

この記事を読めば、『Nのために』のすべてがクリアになり、気持ちもスッキリするので、ぜひ最後までお読みください。

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『Nのために』ネタバレでわかりやすく解説

ここでは、あらすじをネタバレありで紹介し、その後、相関図を使ってわかりやすく内容を解説します。

すでに、あらすじを知っている人は読み飛ばして、「あらすじを相関図付きでわかりやすく解説 」まで進んでください。

登場人物

名前説明
杉下 希美
(sugishita Nozomi)
物語の主人公。東京のK大学4年生。高校時代は離島の青景島に住んでいた。
成瀬 慎司
(Naruse shinji)
希美の高校時代の同級生。東京の「シャルティエ・広田」でアルバイトをしている。
安藤 望
(ando Nozomi)
杉下希美と同じアパート「野バラ荘」の住人。M商事に勤務している。
上司は野口 貴弘。
西崎 真人
(Nishizaki masato)
安藤と同じく「野バラ荘」の住人。法学部を留年中で、自称作家。
美しい顔立ちをしている。
野口 貴弘
Noguchi takahiro)
M商事勤務。事件の被害者。部下は安藤 望。
野口 奈央子
Noguchi Naoko)
貴弘の妻。結婚前はM商事の受付嬢だった。事件の被害者。
野原
(Nohara)
希美たちが住むアパート「野バラ荘」の管理人。

あらすじ(ネタバレあり)

高級マンションで富裕な夫婦(野口夫妻)が殺害される事件が発生。
容疑者として逮捕されたのは、西崎真人(にしざき まさと)。

しかし、事件には彼だけでなく、以下の「N」のイニシャルを持つ4人が関わっていた。

  • 杉下希美(sugishita Nozomi)
  • 成瀬慎司(Naruse shinji)
  • 安藤望(ando Nozomi)
  • 西崎真人(Nishizaki masato)

物語は、それぞれの過去、思い、隠された真実が語られていき、「誰が、なぜ、何のために」殺したのかという核心に迫っていきます。
すべては「Nのために」──。その“N”とは誰なのか。

1章

※1章では、事件後のそれぞれの供述が紹介されています。

杉下希美の証言

二十二歳。K大学文学部英文科の四年生。「野バラ荘」一〇二の住人です。

野口貴弘・奈央子夫妻とは、同じ野バラ荘に住んでいた安藤の内定祝いの石垣島旅行で知り合いました。

安藤が内定をもらった会社は、偶然、野口貴弘と同じ会社でした。

旅行後も交流は続き、安藤と野口貴弘は将棋の対局をしていました。私は奈央子さんと仲良くなり、お礼にと、奈央子さんから立派なドレッサーが送られてきました。

しかし、その後、奈央子さんからの連絡がなくなります。

しばらくして、久々に奈央子さんと会った時、彼女はやつれていました。そして、ドアの外側にドアチェーンが付けられていた。それは奈央子さんが、外に出られないようにするためのもの。

話を聞くとチェーンは、奈央子さんが流産して精神的に不安定になっているため、取り付けたとのこと。

しかし、野口と同じ会社で働く安藤によると、奈央子さんは不倫をしているという噂がある。だから、奈央子さんを閉じ込めるためにチェーンは取り付けられたのかもしれないとのこと。

高校の同窓会に行った時に、成瀬慎司と再会。彼は野口夫妻が好んで利用していたレストラン「シャルティエ・広田」でアルバイトをしていました。

私はシャルティエ・広田で行っているサービス「一日一件限定の出張サービス」を奈央子さんのために頼みたいと夫の野口貴弘さんに提案。「ぜひ、やろう」となりました。

事件当日、貴弘さんと将棋の対局をするために、安藤も誘われていました。私は将棋が強く、野口さんによくアドバイスをしていました。

野口さんに将棋の対局のアドバイスをするために、私が先に野口夫妻宅に到着

安藤が予定より早く野口夫妻宅に到着したため、野口さんは安藤をラウンジに足止めしておくために、部屋を出ました。

野口さんが部屋を出た二十分後くらいに杉下も部屋を出ると、なぜか同じアパートの住人、西崎真人が立っていました。

私と安藤、西崎さんとは、台風を通じて仲良くなっていました。三人とも同じアパートの住人です。

彼の前には、頭から血を流し倒れている貴弘さんと、わき腹から血を流している奈央子さんがいる。

その時インターフォンが鳴りました。それは受付からの呼び出しでした。

成瀬慎司の証言

二十二歳。T大学経済学部国際経済学科四年生です。

フレンチレストラン「シャルティエ・広田」でアルバイトをしています。

杉下希美と同じ愛媛県青景島の出身。高三の時に一緒のクラスで、仲がよかったというわけではなく、東京に来てから連絡を取ったこともありませんでした。

野口夫妻とも、奈央子さんを元気づける出張サービスで、シャルティエ・広田のアルバイトとして行った時に初めて出会いました。そこに杉下がいることも知らなかった。出張サービスの予約をしたのは、野口貴弘さんでした。

杉下とは同窓会で会って、僕の実家は四年前まで料亭をしていました。

事件当日、僕は予約時間の十分前、六時五十分に野口夫妻宅に到着

マンションの受付の人に野口夫妻宅に取り次いでもらうが、電話に出た男に「キャンセルだ」と告げられました。

お金を払ってもらう必要があるので、もう一度取りついてもらうと今度は、女の人の声で「成瀬くんでしょ、助けて!」と言われました。

誰の声か分かりませんでしたが、反射的に部屋へと走りました。

ドアの外側のチェーンはかかっておらず、部屋の中に入ると真っ青な顔をした杉下が出てきて、「警察を」と言いました。

しかし、状況把握が出来ていなかったため、とりあえず話を聞くことにしました。

西崎真人の証言

二十四歳。自称作家。M大学法学部法律学科の四年生。二年留年中。

野口奈央子と出会ったのは、半年前。夏の日の夕方、雨の降る中、杉下の部屋の前で膝を抱えてうずくまっていた。

杉下がいつ帰ってくるかも分からないので、自分の部屋で待ちませんか?と誘い部屋に入れてあげた。下心はなかったよ。

奈央子は杉下と俺が恋人同士なのでは?と勘違いしていた。

奈央子に俺が書いた文学作品を読ませると、「あなたは檻から逃げてきたのね。私と一緒」と言って、彼女は涙を流した。

奈央子は暴力をふるう夫から逃げてきたのだと言う。彼女の身体には赤黒い痣があった。

そこから、俺と奈央子の不倫関係が始まる。杉下はそのことを知らない。そして、十二月になると奈央子からの連絡がなくなった。

翌年の一月十日に奈央子から電話がくる。

内容は、「夫から監禁されている。二十二日に杉下が食事をしに来るから、夕方六時頃に花屋のふりをして助けに来てほしい」ということだった。

当日、六時前に野口夫妻宅に到着し、家の前に行くと奈央子が出てくれた。しかし奈央子は「殺される」と言って、その場から動こうとしない

そこに野口貴弘が来て、俺は殴られた。

「俺を裏切るのか!」と言って、野口貴弘は奈央子の脇腹を包丁で刺した。俺は足元に落ちていた燭台で野口貴弘を殴り殺した。

背後に気配を感じて振り向くと杉下が立っていた。そこでインターフォンが鳴った。レストランの出張サービスだと言われたので、「キャンセルだ」と告げた。

杉下を連れて逃げようかと思ったが、再びインターフォンが鳴り、杉下が「なんとかくんでしょ、助けて!」と叫んだため、全てをあきらめた。

シャルティエ・広田の成瀬という男が来て、事の顛末を聞いてから、通報した。

奈央子が流産したという話は知らない。ただ俺の子では100%ないと言い切れる。

安藤望の証言

二十三歳。M商事営業部勤務。長崎県の千早島出身。

野口夫妻と出会ったのは、杉下と行った石垣島旅行です。

台風がきっかけで、同じアパートに住む、杉下・西崎と仲良くなりました。

将棋を教えてくれたのも、石垣島旅行のスキューバダイビングに誘ってくれたのも杉下。

野口貴弘さんのことは最初は尊敬していましたが、野口さんの性格や働き方を知るうちに嫌いになっていきました。

野口さんから、奈央子さんを元気づけるためのパーティーに誘われました。その時に、将棋の対局も申し込まれました。

七時に来るようの言われていましたが、野口夫妻宅に着いたのは六時過ぎでした。

野口さんからラウンジで待つように言われ、ラウンジでついウトウトしていると、七時半少し前になっていたので、部屋の前に行きインターフォンを鳴らすと、杉下から「中には入らないで」と言われた。

そうしていると、警察や救急隊が来て、自分は部屋に入ることなく今に至っています。

西崎は懲役十年の刑を受ける。

2章

※2章は、成瀬慎司の目線で、物語が進みます。

同じ青景島出身の杉下と成瀬。

高三の二学期。杉下が、意地悪な数学の先生から当てられた質問を成瀬の助けで答えられたことで、二人は仲良くなる。

杉下の家庭は、父が愛人を作り、家から追い出された杉下と弟と母親は、幽霊屋敷と呼ばれている家に住んでいた。

成瀬の実家は料亭をしていたが、経営不振から、別会社に買い取られパチンコ屋になることが決まっていた。

詰め将棋を通じて二人の仲は深まっていく。

成瀬が詰め将棋を解いた時に後ろの席で、杉下がシャープペンシルを3回鳴らすのは「す・ご・い」という意味

それがある日、4回になった。意味は教えてくれなかった。そして「あの事件」の後、最後に5回鳴らされてお互いに口をきくことはなくなった。

あれは「死んじまえ」だったんじゃないかな。

「あの事件」とは

ある日、杉下は毎日通っていた山の麓にいた。彼女が一番、心落ち着く場所。

そこから、海岸付近の建物から火が上がっているのが見えた。

燃えている建物の前に行くと、成瀬が呆然と燃える建物を見ていた。

その日は、成瀬の実家が料亭を明け渡し、町のはずれのアパートに引っ越した日だった。

警察が来た時、杉下は「ずっと成瀬と二人でいた」と嘘をついた。奨学金の申請書を成瀬に渡していたと。

成瀬は、特に何も考えず受け取った奨学金の申請書を書き、提出した。

しかし、この申請書は杉下が出すべきものだったんじゃないか。

それ以降、杉下にどう接していいのか分からなかったが、シャープペンシルを5回鳴らすのは、見えた。

その後、同窓会で杉下と成瀬は再会する。

そして、詰め将棋をきっかけに、杉下の住む野バラ荘で会うことに。

そこで成瀬は、奨学金のことを誤った。しかし杉下はそんな風には思っていなかった。

シャープペンシルを5回鳴らした意味も、奨学金の申請が通って「よかったね」の5回だった。

その時に杉下は成瀬にシャルティエ・広田の出張サービスを頼んで、一月二十二日に行くことが決定した。

一月二十二日の一週間前。西崎の文学賞一次選考通過祝いに呼ばれ、杉下・成瀬・西崎の3人で祝うことに。

その時、成瀬は一月二十二日の計画を杉下と西崎に告げられる。

当初の計画は、西崎がシャルティエ・広田のスタッフのふりをして、成瀬と共に野口夫妻宅に入る予定だったが、奈央子の要望により、西崎が花屋のふりをして助けに行くことになった。

一月二十二日の計画

五時半に杉下が野口夫妻宅に行く。

六時に西崎が花屋のふりをして奈央子を連れ出す。

七時成瀬が出張サービスで来て連れ出すのをフォローする。

出張サービス当日、成瀬は野口夫妻宅に六時五十分に到着

しかしなぜか、電話口で西崎に「キャンセルだ」と告げられる。訳が分からずもう一度つないでもらうと、杉下が「助けて!」と叫んだ。

部屋に入ると西崎は「計画は失敗だ」と言い、杉下は「ごめんね」とうつむく。

杉下に「なにが起こったの?」と尋ねるが、奥の防音の書斎にいたため「よく分からない」と言った。

3人は嘘の証言をすることに決めた。

口裏をあわせたのは、以下の点。

  • 起こったことはありのままに話す
  • 三人で計画を立てたことは黙っておく
  • 杉下と成瀬は同窓会以来、会っていない
  • 成瀬と西崎は事件当時に初対面ということにする
  • 杉下は、西崎と奈央子に面識があることを知らなかった
  • 西崎は一人で奈央子を連れ出し計画を立てた

上記の確認をしてから成瀬が通報した。

その後、警察からの事情聴取もスムーズに進み、西崎が刑を受けることになった。

その後、成瀬と杉下が会うことはなかった。

それはきっと、成瀬が疑われないようにするために、杉下が距離を置いたのだろう。

事件から十年後、成瀬は小さいながらも自分の店を持った。そして、彼は事件の真相を知らない。

本当に野口貴弘を殺したのは、西崎なのか?杉崎は事件の内容を知らないのか?

3章

「灼熱バード」は西崎の文学作品で、トリが女に「愛してる」という理由で火あぶりを受ける物語。西崎の幼少期の体験が大きく反映されている。

※3章は、安藤望の目線で、物語が進みます。

台風を通じて仲良くなった、杉下・西崎・安藤はある日、一緒に部屋で飲み会をした。

その時、「究極の愛とは何?」と問われた杉下は「罪の共有」と答えた。

罪の共有とは、「罪を誰にも知られず、相手の罪を半分、受け入れること

安藤は、杉下きっかけで始めたことがたくさんある。

「将棋」「清掃のバイト」「スキューバダイビング」

就活の履歴書アドバイスを杉下からもらい、第一志望のM商事に受かったこともあり、杉下を沖縄旅行に誘った。

そうすると杉下は「安藤が内定をもらった会社の人が、今度、石垣島に旅行に行くってブログに書いてあったから、それに合わせて行こう。しかも将棋好き」と言い出した。それが野口貴弘だった。

お礼に安藤は、杉下にビルの高い場所から見える景色を見せてあげた。

M商事に勤めだすと、野口と安藤はお遊びで将棋で勝負することが多々あったが、安藤が毎回負けていた。

しかし、それは陰で杉下が野口に助言していることを安藤は知っていた。

野口は「海外の僻地への転勤をかけて、将棋で五番勝負をしよう」と言ってきた。

四敗後、最終戦は一月二十二日の奈央子を励ますパーティーで行われることになった。

野口には七時前に来るように言われていたが、六時過ぎには野口夫妻宅に着いた。

しかし、野口は慌てた様子でラウンジで待つように言う。

そこで安藤は西崎と出くわした。

バイトで野口家に花を届けると言う。きっと杉下と西崎で何か企んでいるのだろうと安藤は思う。そして、なぜ自分には何も知らされていないのか。

腹いせにラウンジに行く前に野口宅のドア外に取り付けてあるチェーンをかけて、ラウンジへと向かった。

ラウンジでウトウトしてしまい、気が付くと七時を過ぎていたため、野口宅へ向かうとチェーンが外されていた。

西崎はどうやって野口宅から出たのだろう?

インターフォンを鳴らすと、杉下が出てきて「中に入らないで」と言う。

そこに警察が来た。

安藤は事件について何も知らなかった。

4章

※4章は、杉下希美の目線で、物語が進みます。

青景島で杉下希美は、母方の祖父母が建てた洋館で暮らしていた。

島では「白いお城」と呼ばれていた。

父・母・弟の四人家族で幸せに暮らしていた。十七年間は。

高校二年の秋、家に帰ると家から大きな段ボール箱が何箱も運び出されていた。

父親が愛人とここで暮らすのだと、母と自分と弟を追い出した。

弟は抵抗したが、父親に何度も殴られた。そして、それを止めるために希美は、花瓶をドレッサーに投げつけた。

三人は「幽霊屋敷」と呼ばれている古い家に住むことに。

父親は生活費だけは振り込んでくれたが、精神的にも不安定な母親が昔の生活から抜け出せず、高価な化粧品などを購入し、すぐにその生活費は使い果たされた。

食べるにも困り、希美は父親に金の工面を頼みに行くが、たまたま父親はおらず、不倫相手の女がいた。

その女から、毎日「食事を分けてください」と土下座すれば、食事を分けてやると言われ、歯を食いしばり希美は土下座した。

どんどん無口になっている弟を心配し、希美のすすめで弟は島外の高校に進学した。

しかし、そのことで希美は精神的に追い詰められた。そんな時、彼女の前の席が成瀬になった。

希美は似たような境遇の成瀬と仲良くなった。成瀬と話すために将棋も覚えた。

そして、成瀬の実家の料亭が放火によって燃えた

毎日のように元の実家「白いお城」が燃えてなくなればいいのにと願っていた希美は、成瀬が実家を放火したこと(希美の勘違い)で、自分の実家も母親も父親もあの女も燃えた気持ちになり成瀬に助けられた気分になった。

希美は成瀬のために、何ができるだろうと考えた。

大学生になり、島を出て、東京の野バラ荘に住む杉下希美。その野バラ荘に立ち退きの話が出ているが、管理人の野原は売りたくないと言う。

ある日、西崎が杉下に「スキューバダイビングの資格を取らないか?」と言う。野バラ荘を買い取ろうとしているビルのオーナーの息子が、珊瑚を守るボランティアをしているらしい。それが野口貴弘だった。

そこで杉下は、安藤を誘いスキューバダイビングの資格を取る。ただし安藤には迷惑をかけたくないので、野バラ荘が立ち退きになるかもしれないことは、伝えなかった。

石垣島旅行で野口夫妻と仲良くなることに成功した杉下は、野バラ荘売却の話も野口貴弘に相談し、解決に向かった。

杉下は過去の経験から、食べ物の作り置きをしておかないと精神的に落ち着かないと言う症状があった。

しかし、安藤や西崎の優しさに触れることで症状は治まっていた。しかし、ある日突然、杉下の部屋にドレッサーが運び込まれたことによって、また症状が再発する。

5章

※5章は、西崎真人の目線で、物語が進みます。

西崎真人は幼少期、母親から虐待を受けていた。父親は物心がついた時には離婚していた。

母親が西崎に暴力をふるう理由は「愛しているから」だと言う。

ある日、小学校の担任が、西崎の身体に無数の痣があることに気付く。

担任は西崎の母親に「痣」の件を問い詰めたが、母親は虐待はないと言う。そして、あろうことか、担任と西崎の母親は関係を持つことに

それと同時に、母親からの虐待は止まった。

しかし、担任と母親との関係は長くは続かなかった。母親からの虐待が再び始まった。

母親は西崎の身体に火のついた煙草を押しあてた。西崎は二度と消えることのない、愛と言う名の烙印を体中に刻み込まれた。

ある日の晩、西崎はおかしな臭いで目が覚めた。母親のタバコの火の不始末で家が火事になったのだ。

そして、母親は焼け死んだ。

その後、西崎は父親の元に引き取られた。

西崎は周りから「かわいそうな子」と同情されたが、「かわいそうな子」と言われるたびに、過去の人生から愛が消えていく気がした。

美しい文章で紙に綴れば、愛だと言ってもらえるのだろうか。そんな想いから「灼熱バード」を書きあげた。

大人になり、野バラ荘に住み始めた西崎は、偶然、野口奈央子と出会う。

そして、彼女の身体にも無数の痣があることを知る。それは夫の貴弘からつけられたもの。

彼女はその痣を「愛の証」だと言った。

そこから二人は不倫関係に堕ちる。不倫関係に堕ちながらも、奈央子は「彼には私しかいなくて、私には彼しかしない」と、野口貴弘の愛を求めていた。

西崎は杉下に、奈央子を野口貴弘から救い出したいと、お願いした。

杉下によって計画は進み、シャルティエ・広田の出張サービスを予約し、野口夫妻と杉下、安藤の四人で奈央子を元気づけるパーティを一月二十二日に行うことが決まった。

そして、奈央子から西崎に電話があり、「当日の六時くらいに花屋のふりをして助けに来て」とお願いされた。

当日、花屋が予想以上に混んでいたため、西崎が野口夫妻宅に着いたのは六時二十五分。

そこで、予定より早く到着していた安藤と偶然、出くわしたが、安藤は計画のことを知らないため、適当にはぐらかした。

ドアの前に着き、インターフォンを押すと奈央子が出てきたが、一緒に逃げようとしない。

そうこうしていると、貴弘が気づき、西崎を殴った。

西崎は逃げようとドアを開けようとするが、安藤が腹いせに外のチェーンをかけていたため、ドアは開かない。

西崎は包丁を野口貴弘に向けたが、奪われてしまう。

杉下が細いシルバーの花瓶を持ち上げて「やめて!」と叫ぶ。

同時に奈央子がシルバーの燭台で貴弘を殴った

そして、奈央子は包丁で自らの脇腹を刺した。

西崎は、「野口貴弘が奈央子を刺し、自分が野口貴弘を殴り殺したことにする」と言った。

**

杉下は、事件当日、野口貴弘に将棋のレクシャーをしていた時に、わざと西崎が、野口宅に入ってきたことを教えた。

野口は事件当日の安藤との将棋の試合で、安藤を僻地へと飛ばすことを決めていた。

それを阻止したかった。

わざと野口貴弘に西崎が家に入ってきたことを教えれば、激高した野口は西崎を殴るはず。

野口が傷害罪で訴えられれば、安藤の僻地行きの話もなくなると思ったため、その行動を起こしたのだ。

しかし、思いもよらぬ結果となってしまった。

西崎にこのことを打ち明けたら許してくだるだろうか?だけど西崎も私に隠していることがあるはずだ。

余命半年と宣告されて、青景島の病室で過ごす私に、成瀬君は会いに来てくれる。

成瀬に「何かしてほしいことはないか?」と訊かれたが「事件の真相を知りたい」とは言わずに「おいしいものを作ってほしい」と頼んだ。

私のためではなく、私の人生を愛してくれた人たち———-”Nのために”

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人間関係の相関図

ここでは、『Nのために』の人間関係と、事件の真相を図解付きでわかりやすく解説しますね。

〖人間関係〗相関図全体像

Nのために 相関図
野口夫妻

野口貴弘は、負けず嫌いで支配的な性格。奈央子の不倫のうわさを聞き、部屋に監禁する。

奈央子は、依存的な性格で、貴弘に暴力を受けながらも、それが「愛」だと受け取る。

野口と安藤は会社の先輩後輩

負けず嫌いな野口は、杉下に将棋のブレーンになってもらい、安藤との将棋の勝負の勝ちにこだわる。

安藤は入社当時こそ野口を尊敬していたが、野口の傲慢な性格を知り、嫌いになっていく。

成瀬と杉下は同級生

成瀬と杉下は、青景島の高校の同級生。お互いに恋心を抱くが、すれ違いでその思いに気付かないまま。

高校卒業後は、二人とも東京に行くが、交流はなく、同窓会をきっかけに再び、距離が近づく。

西崎・安藤・杉下は同じアパートに住んでいた

台風をきっかけに三人は仲良くなる。安藤はM商事に就職後、野バラ荘を出る。

西崎と奈央子は不倫

西崎と奈央子は、野バラ荘で出会う。

奈央子が杉下に会うために、雨が降る夜、野バラ荘で待っているところを、西崎が気づき部屋へ誘うところから関係が始まる。

西崎は母親から暴力を振るわれた過去があり、奈央子は夫から暴力振るわれている。お互いに似た境遇なこともあり、不倫関係に。

事件の真相を解説

『Nのために』は序盤で、杉下たちが嘘の供述をしたため、事件の真相が分かりづらくなっています。

ここでは、事件の真相をわかりやすく解説します。

事件の真相:時系列

Nのために 時系列

事件の真相を解説

事件が起きたのは一月二十二日(土曜日)。

奈央子を元気づけるためのパーティーが行われる予定でした。

そのパーティーで、野口貴弘と安藤は、将棋で対戦予定。これで負ければ安藤の僻地への転勤が決まります。

野口貴弘は杉下に将棋のレクチャーを受けるために、パーティー前に杉下を自宅へ呼びました。

17:25に杉下は野口宅に到着し、二人で別部屋にこもり安藤に勝つための作戦会議を開始

18:15に安藤より「予定より早く野口宅に着いてしまった」と入電。まだ作戦会議中だったため、同じマンション内にある、ラウンジで待つように指示。

18:25、安藤がラウンジに向かう前に、花屋に扮した西崎と出くわします。

安藤には、このパーティーは見せかけで、本当は奈央子を救い出すという作戦は伝えていなかったため、西崎は適当にごまかします。

しかし安藤は、杉下や西崎が何か企んでいることに気付きます。自分にだけ何も知らされていないことに腹が立ち、西崎が野口宅に入った後に、外側のチェーンをかけて、ラウンジへと行きました。

18:25、西崎は野口貴弘が気づく前に、奈央子を連れ出そうとするが、奈央子は拒否。杉下が夫と不倫しているから、杉崎を連れ出してほしいと言い出す。

杉下は、玄関に奈央子の不倫相手が来ていることを、野口貴弘に教えた。

野口貴弘は激高し、西崎を殴りつける。

西崎は逃げようとするが、外側のチェーンがかけられていて逃げられない。

もめている最中、奈央子が野口貴弘を花瓶で殴って殺害。そして自らの脇腹を包丁で刺し、自害。

西崎は奈央子を殺人犯にしたくないと言い、自分が野口貴弘を殺したことにすると言った。

18:50、シャルティエ・広田の出張サービスのため、成瀬が野口宅に到着

インターフォンから杉下に「助けて」と言われ、野口宅へ上がる。

事件のあらましを聞き、19:20に警察に通報した。成瀬には西崎が貴弘を殺した、と伝えた。

安藤は、19時過ぎまでラウンジにいたため、事件の真相を知らない。

事件当日の行動と思惑を、登場人物ごとに解説

事件当日の、それぞれの行動と思惑をわかりやすくまとめます。

西崎の行動と思惑

西崎が監禁され暴力を振るわれている奈央子を、救い出したいと言い出した。

それを杉下に相談。

事件当日、花屋に扮して奈央子を救い出そうとしたが、奈央子に拒否された。
結果的に、奈央子が貴弘を殺し、自死したが、警察に嘘の供述をして、西崎が罪を被り懲役十年を服した。

杉下の行動と思惑

西崎に相談され、成瀬に出張サービスを頼み、安藤をパーティに誘った。

安藤には迷惑をかけたくなかっため、安藤には奈央子を救い出す作戦は伝えなかった。

事件当日、西崎が来たことをわざと貴弘に教えて、西崎を襲わせたが、まさか殺人まで発展するとは思わなかった。

西崎を襲わせた理由は、貴弘が西崎を殴り傷害罪で訴えられれば、安藤が僻地に飛ばされることがなくなると考えたため。
しかし、結果的に安藤は僻地へと異動した。

安藤の行動と思惑

安藤は、奈央子を救い出す計画は知らなかった

貴弘と僻地への転勤をかけた将棋の試合をしに来た。
そして、貴弘の裏には杉下がブレーンになっていることに気づいていた。

安藤は僻地へ転勤してもいいと考えていた。

早めに野口宅に着いたが、ラウンジで待つように言われ、ラウンジに行く前に、花屋に扮した西崎に出くわす
杉下と西崎で何か企んでいることに気づくが、自分には何も知らされていない。
その腹いせに、西崎が野口宅に入った後に外側のチェーンをかけた。

結果、その行動が、西崎や杉下が野口宅から逃げ出すことが出来なくなり、事件を悪化させた。
安藤はそのままラウンジで19時過ぎまで過ごし、事件のことを知るが、真相は知らないまま。

奈央子の行動と思惑

西崎が自分を救い出しに来ることを聞いた奈央子は、西崎に花屋に扮して来てほしいと頼む。

奈央子は、杉下と西崎は恋人同士だと勘違いし、杉下が貴弘と不倫しているとも勘違いしていた。
そのため、杉下の恋人だと思っている西崎に、杉下の不倫をやめさせるために、西崎をパーティーに呼んだ。

だから、西崎が救い出そうとしても、逃げなかった。
野口貴弘を自分のものだけにするために、貴弘を殺し自殺した。

それぞれの十年後

野口夫妻殺人事件から十年後、それぞれの”N”たちがどうなったのかを紹介します。

杉下 希美

事件後、罪に問われることはなく、普通に就職します。

余命半年の宣告を受け、青景島へと帰り、入院します。

事件の真相を知っているのは、杉下と西崎のみです。

成瀬 慎司

シャルティエ・広田から独立し、青景島に小さなレストランを構えます。

そこに杉下希美を招待しました。

成瀬も野口夫妻が死んでから、部屋に入ったため、事件の真相を知りません。

西崎 真人

事件後、自らが犯人だと供述し、懲役十年の刑に処されました。

西崎真人の十年後は、小説内では特に出てきていません。

野バラ荘の彼の部屋は、管理人の野原さんによって、十年後も開けられたままとのこと。

一番辛い思いをした西崎は、母親への罪の意識から解放され、野バラ荘へと戻っていることを願いたいと思います。

安藤 望

事件後、西崎の刑が軽くなるように奔走し、優秀な弁護士を西崎につけてあげました。

その後、お子様ランチで一番ありがちな国で五年過ごし、帰国。

安藤は、いまだに事件の真相を知りません。

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『Nのために』内容を徹底考察

Nのために 考察

『Nのために』の内容を徹底考察します。

ユク

読後の気持ちを共有しましょう!

  • それぞれの母親を考察
  • それぞれの母親のその後
  • 放火犯は成瀬ではない
  • 成瀬が放火犯と疑われないように、杉下がかばった理由
  • のぞみの病気は?
  • 杉下は誰が好きだったのか
  • 杉下が鳴らしたシャープペンシルの意味
  • 奈央子が杉下にドレッサーをプレゼントした理由
  • 奈央子が西崎と不倫関係になった本当の理由
  • 西崎が自ら罪をかぶった理由
  • 一番かわいそうなのは西崎

それぞれの母親を考察

杉下希美の母親

杉下希美の母親は、お嬢様気質が抜けずに、夫に捨てられた後も、贅沢な暮らしを続けました。

そして、夫が自分の元に戻ってくると信じていた。

杉下は、そんな母親と奈央子が似ていると感じており、奈央子のことが嫌いでした。

西崎真人の母親

西崎真人の母親は、西崎に虐待を繰り返し行っていた。

たばこの火を体に押し付け、愛と言う名の烙印を体中に刻み込んだ。

二人の母親に共通するのは「心の弱さ」

その心の弱さに、子どもたちは振り回され、心を傷つけられます。

特に、幼少期から、心も体も傷つけられた西崎の精神的負担は大きかったのではないでしょうか。

それぞれの母親のその後

杉下の母親は、杉下が東京の大学に行くことでさらに精神的に不安定になることが心配されましたが、希美が島外に出た直後に、幼馴染の王子様が現れ、心配も解消された。

西崎の母親は、自らのタバコの不始末で火事によって亡くなりました。

ユク

杉下の母親は、幸せな方向へと進みましたが、西崎の母親は、悲しい結末になってしまいましたね。

だけど、西崎にとっては、虐待から解放されたため、結果的には良かったのかもしれませんね。

放火犯は成瀬ではない

杉下が建物が燃えていることに気付き、燃える建物の前に行くと成瀬がいました。

しかし、小説の内容を読む限り、放火犯は成瀬ではありません。

成瀬が夜に出歩いていた理由は、「杉下に会いたかったため

杉下が毎夜、山の麓に行っていることを知っていて、実家の料亭が買収された日に、どうしても杉下に会いたかったので、夜に出歩いていました。

実際の放火犯は捕まっていません。

成瀬が放火犯と疑われないように、杉下がかばった理由

杉下は高校生の時、「狭い島の中で、幸せになる努力もせずに、幸せと言い聞かせながら人生を終えるのが嫌だ」と言っていました。

そんな思いを共有できるのは、成瀬だと感じていた。

実家が燃えるのを見ている成瀬を見て、成瀬がため込んでいる思いは、杉下以上のもので、一緒にその思いに飲み込まれたいという気持ちになり、成瀬をかばったのだという。

実際のところ、成瀬は放火犯ではありませんが、杉下は成瀬が放火犯だと思っていました。

のぞみの病気は?

事件から十年後、杉下希美は余命半年の宣告を受けますが、病名は明らかにされていません。

ユク

一般的に余命宣告が下されるのは「癌」の可能性が高いのではないでしょうか。

杉下は誰が好きだったのか

杉下が好きだったのは、「成瀬慎司」

安藤望の可能性もありますが、小説内で西崎から「安藤はどう?」と勧められた時に「気は合うけれど、この先寄り添う姿は想像できない」と言っていました。

杉下は、究極の愛は「罪の共有」だと言っています。

野口夫妻の事件の真相を知っているのは、杉下と西崎のみなので、「罪の共有」をしていますが、小説を読む限り、杉下が好きだったのは、放火の罪を共有している「成瀬慎司」が好きだったのだと思います。

杉下が鳴らしたシャープペンシルの意味

成瀬が同窓会後、東京で杉下の住む野バラ荘に行った時に、シャープペンシルの四回バージョンは何だったのかを聞いた時の答えは「あのとき、一番思ってたこと。でも成瀬くんに気付いてもらいたかったこと」と言っていました。

杉下が放火事件後、成瀬と話さなくなった理由は、「成瀬が放火犯と疑われないため

だから、シャープペンシル四回の意味は「だいすき」だと思いたいと、成瀬は回想しています。

しかし、実際の四回の意味は「たすけて」でした。

弟が島外の高校へ進学し、母親と二人になった希美は精神的に追い詰められていた。

それを成瀬に気付いてほしくて、「たすけて」とシャープペンシルを四回鳴らしていたのでした。

奈央子が杉下にドレッサーをプレゼントした理由

奈央子は、杉下希美にドレッサーを送っています。

送った理由は、アンティークショップで杉下がドレッサーを食い入るように見ていたから。

そして、奈央子は自分の夫と杉下が不倫をしていると勘違いしていました。

ユク

ドレッサーをプレゼントしたのは、夫から手を引かせる意味もあったと思われます。

しかし、残念ながら杉下がドレッサーを見ていた理由は欲しかったからではありません。

父親の不倫相手の女が、自分の住んでいた家に持ち込んだものがドレッサーでした。

そのため、その時の心情を思い出し、ドレッサーを見ていたのでしょう。

ドレッサーは杉下にとって最悪のプレゼントでした。

幼少期のトラウマから、杉下には必要以上に料理を作る症状がありました。

その症状も野バラ荘で安藤や西崎と接するうちに落ち着いていたのに、奈央子が送ってきたドレッサーのせいで、トラウマが蘇り、再びその症状が再発してしまいました。

奈央子が西崎と不倫関係になった本当の理由

奈央子は二つの勘違いをしています。

  1. 西崎と杉下は恋人同士
  2. 杉下は野口貴弘と不倫している

二つとも事実ではありません。

しかし、そう信じていた奈央子は、西崎に優しくすれば、貴弘と別れるよう、恋人の杉下を説得してもらえると思っていました。

そのため、一月二十二日のパーティーは、西崎に連れ出してもらうつもりはなく、貴弘から手を引くように西崎から杉下に言ってもらうために、呼んだのです。

西崎が自ら罪をかぶった理由

事件の真相は、奈央子が貴弘を殴り殺し、奈央子は自死しました。

だけど西崎は、貴弘が奈央子を刺し、自分が野口貴弘を殴り殺したことにした。

その理由は、「奈央子を殺人犯にしたくなかったため」そして「罪を償って解放されたかったため

どういう意味かというと、

西崎は母親から受けていた虐待を正当化するために、「母親は愛しているがゆえに、自分を虐待をしていた」と思い込もうとしました。

だけど、心の奥ではそうではないと気づいていた。間違った愛だと。

奈央子が貴弘を殺した理由は「愛しているから」だと言いました。私だけのものにするためだと。

しかし、人の命を奪う理由が「愛なんて尊い言葉であってはいけない」と西崎は言います。

だから自分が犯人になれば、殺人の理由は「復讐」になる。

そして、殺人の罪をかぶることで、母親が燃えていくのを見殺しにした罪悪感から解放されたい、という思いもありました。

そのため、西崎は罪をかぶりました。

ユク

文学を愛する西崎らしい理由だと思います。

一番かわいそうなのは西崎

この物語に出てくる「N」の中で、一番かわいそうなのは西崎ではないでしょうか。

幼少期から母親から虐待を受け、さらにその母親は死んでしまいます。

そして、奈央子と不倫関係になりますが、それも本物の愛ではありませんでした。

最終的に、殺人を犯していないのに、奈央子ために罪をかぶる西崎。

ユク

せめて十年後、出所する頃には、母の歪んだ愛から解放されていることを願いたいですね。

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聴き放題本数90万本
月額料金1,500円(税込)
支払い方法クレジットカード
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※現金や電子決済は不可
お試し期間初めての入会で、30日間無料
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朗読 榮倉奈々
再生時間8時間9分

ユク

オーディブルは通勤中や家事の時などのスキマ時間にも聴けるので、「本を読む時間がない」という人にもおすすめです。

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『Nのために』基本情報

Nのために 基本情報

小説

タイトルNのために
著者湊かなえ
ジャンルミステリー、恋愛ミステリー、ヒューマンミステリー
出版社東京創元社
刊行形態単行本、文庫本 (創元推理文庫)
単行本発売日2010年1月29日
文庫本発売日2014年8月23日
ページ数(単行本) 246ページ
概要高層マンションで起きた殺人事件を巡り、登場人物たちの過去と現在の関係性、そして「Nのために」という共通の目的の真相が明かされていくミステリー。

ドラマ

タイトルNのために
放送局TBS系列
放送期間2014年10月17日 – 2014年12月19日
放送枠金曜ドラマ (毎週金曜日 22:00 – 22:54)
話数全10話
原作湊かなえ『Nのために』(東京創元社刊)
脚本奥寺佐渡子
演出塚原あゆ子、山本剛義、阿南昭宏
プロデューサー新井順子
エンディング家入レオ「Silly」
出演者榮倉奈々、窪田正孝、賀来賢人、小出恵介、徳井義実、小西真奈美、三浦友和 など
概要湊かなえの同名小説を原作としたミステリードラマ。とある殺人事件を巡り、登場人物たちの過去と現在の関係性、そしてそれぞれの「N」の存在が深く描かれる。

『Nのために』:まとめ

湊かなえさんの小説『Nのために』をネタバレでわかりやすく解説しました。

相関図付きで、人間関係や事件の時系列も整理して紹介。

人間関係相関図

Nのために 相関図

事件の時系列

Nのために 時系列

野口夫妻殺人事件の裏には、杉下希美、成瀬慎司、安藤望、西崎真人の4人の「N」がそれぞれの思惑を抱えて関わっていました。

それぞれの「N」が抱える過去のトラウマや、誰かのために行動する「N」の存在が、物語に深みを与えています。

『Nのために』は、ただのミステリーに留まらず、人間の心の弱さ、歪んだ愛、そして誰かを守ろうとする純粋な想いが複雑に交錯するヒューマンミステリーです。

事件の真相が明らかになったことで、それぞれの「N」の行動や感情がより鮮明に理解できたのではないでしょうか。

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