『変な絵』を読んで、「結局、あの絵の意味って何だったの?」「このシーンの伏線、どういうこと?」と疑問が残った方も多いのではないでしょうか。
この記事では、『変な絵』の3枚の絵に隠された秘密や、ストーリー、登場人物、優太がその後どうなったのか?などを徹底考察。
なぜこの展開になったのか? 作者はどんなメッセージを込めたのか? さまざまな解釈を交えながら、読み終えた後に「なるほど、そういうことか!」と納得できるような内容をお届けします。
『変な絵』の世界をより深く味わうために、一緒に考察していきましょう!

ユク
「変な絵」は、オーディブルでも聴くことが可能。
「読む」とはひと味違った新しい感覚を楽しんでみてください。
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『変な絵』あらすじ(ネタバレあり)

あらすじを知っている人は、読み飛ばして次の「変な絵を考察 」へ進んでください。
第一章 風に立つ女の絵
2014年5月19日。
大学生の佐々木修平は、同じオカルトサークルに所属する後輩、栗原に「不気味なブログ」を見つけたと教えてもらった。
ブログ内容によると、ブログを書いているレンとユキは夫婦で、ユキは妊娠していた。
当初は、出産に向けての微笑ましい内容だった。
しかし、途中から暗雲が立ち込め始める。
おなかの中の赤ちゃんが逆子でなかなか直らなかったのだ。
ユキの情緒は不安定になり、赤ちゃんの未来予想図を思い浮かべたという「5枚の絵」を描いた。
そして、赤ちゃんは無事に生まれたが、ユキは出産時に死亡してしまう。
ユキが亡くなって三年後、レンは最後のブログを公開する。
あなたがいったいどんな苦しみを背負っていたのか、僕には理解することはできません。
あなたが犯してしまった罪がどれほどのものなのか、僕にはわかりません。
あなたを許すことはできません。それでも、僕はあなたを愛し続けます。
第二章 部屋を覆う、もやの絵
今野直美は、もうすぐ六歳になる今野優太と、マンションで暮らしていた。
今野直美は最近、不審な男につけられていた。
ある日、優太が通う幼稚園で、担当保育士の春岡美穂に最近、優太が「変な絵」を描いたと告げられる。
絵には直美と優太が笑顔で立っており、横には二人が暮らしているマンションが描かれていた。
そんなことがあった翌日、直美が朝、目を覚ますと優太がいなくなっていた。
必死で優太を探し、なんとか見つけ出した。
優太がいたのは「さくら霊園」
優太の「本当のお母さん」が眠る場所だ。
その夜、今野直美は息子である、今野武司が書いていた「七篠レン心の日記」というブログを見ていた。
すると玄関のチャイムが鳴った。
直美は笑顔で男を玄関に招き入れた。
玄関に防犯カメラはない。
直美は隠し持っていた包丁で男を刺した。
男はなぜか抵抗しない。
直美は男の顔に見覚えある。
しかし、どうしても思い出せない。
第三章 美術教師 最後の絵
1992年9月21日。
L県K山の山中で、美術教師の三浦義春(41歳)が遺体で発見された。
現場には、三浦が描いたと思われる「山並みの絵」が残されていた。
1995年8月28日。
地方新聞社「L日報」で熊井勇とその後輩、岩田俊介は「K山美術教師殺人事件」のファイルを見ていた。
岩田俊介は三浦義春の教え子である。
岩田俊介は、亀戸由紀を取材した。
岩田は、三浦義春が事件当日とった行動を完全再現することを決めた。
K山に登るのは、三浦義春の命日である9月20日。
亀戸由紀にもそのことを告げた。
1995年9月26日、福井県のマンションの一室で、豊川信夫の遺体が発見された。
遺書らしきものが残っており、内容は「三浦義春と岩田俊介を殺したのは自分」というもの。
遺書はワープロで書かれていた。
***
2015年4月24日。
今野直美は、包丁で刺した男を不思議な気持ちで見下ろしていた。
刺された男は「熊井」と名乗った。
「岩田の上司だった」という。
直後、警察が入ってきて今野直美は、傷害罪で現行犯逮捕された。
最終章 文鳥を守る樹の絵
今野直美は、拘置所の中で子供のころのことを思い出していた。
今野直美には、優しい父と美人の母親がいた。
幼少期、直美は幸せだった。しかし父の自殺を機に、幸せな生活は崩れていく。
母は精神的に不安定になり、直美を虐待した。
ある日、うるさいという理由で、父から買ってもらった文鳥の「ちっぴ」を、母が握りつぶそうとしていた。
直美はちっぴを守るために、母親を殺した。
事件後、施設で過ごし大人になった直美は、助産師になるため看護学校に通いながら、喫茶店でバイトをした。
バイト先で美大に通う三浦義春と豊川信夫と出会い、その後、三浦義春と結婚した。
義春と直美の間に、武司が生まれた。
義春のしつけは厳しく、時に手をあげた。
直美は義春が許せなかった。
1992年9月20日。直美はK山で三浦義春を殺した。
義春の死後、豊川信夫と義春の教え子である亀戸由紀が、生活の手助けをしてくれた。
豊川は、直美が義春を殺したことを知っていた。そのことを理由に、直美を脅し関係をもつように強要した。
義春の死から三年後、亀戸由紀から岩田俊介という記者が、義春の事件を調べていることを聞く。
直美はまたも武司を守るために、岩田と豊川の殺人を決意し、実行した。
その後、武司は大人になり、結婚相手を直美に紹介した。
武司の結婚相手は、亀戸由紀だった。
由紀が妊娠後、「生まれてくる赤ちゃんを自分が育てていきたい」と思うようになる。
直美は助産師という立場を利用し、薬と称して「塩入りのカプセル」を由紀に飲ませた。
血圧が高くなった由紀は、出産時に死亡。
その三年後に、息子の武司は自殺した。
武司が自殺した理由は、武司が書いていた「七篠レン心の日記」というブログの最後の記事を見て理解した。
武司は「直美が由紀を殺した」と気づいたのだ。
***
熊井勇は後輩である岩田俊介の事件を解決するために、思案し「犯人は今野直美だ」というところまでたどり着いた。
しかし、過去の事件を警察は調べてはくれない。
そのため、不審者を装い直美に恐怖心を与えた。
武司に危険が及ぶことを恐れた直美は、熊井を刺し、逮捕された。
***
刺された熊井と入院先で同室になった青年は、なぜか事件のことを詳しく知っていた。
そして、今野武司がやっていたブログを教える変わりに、優太の面倒を見るように言われた。
熊井は優太の面倒を見ることになった。
***
2015年6月某日。
優太と同じ幼稚園に通う、米沢美羽の父は、熊井と優太をバーベキューに招待した。
米沢の父は、知っている。
子どもも辛いことに耐えながらも笑顔で過ごしている。
だけど世の中には、辛いことと同じくらい楽しいことがあることを伝えたい。
米沢は精一杯、明るい声で言った。
「よっしゃ!優太くん!美羽!待ってろよ!今から世界一うまい焼きそば、作ってやるからな!」
~おわり~
『変な絵』のあらすじは、こちらの記事で相関図・図解つきで分かりやすく解説しています。
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変な絵を考察

小説『変な絵』に出てくる「絵」について考察します。
3枚の絵の秘密
ユキが描いた絵の3枚を重ねると、1枚の絵が完成します。

今野直美の殺意に気づいた、ユキはダイニングメッセージとして、この絵を描きました。
出産が近くなった時、ユキは急に泣きだしました。
その後、ダイニングメッセージとなる「絵」を描き始めます。
母である直美を溺愛する武司。ユキ自身には頼れる身よりはいない。誰にも相談できない。

ユク
逃げる場所がないユキの抱える恐怖心はとても大きなものだと予想できますね。
そして、直美が自分を殺そうとしていることを、武司に絵を通して気づいてほしかったのだと思います。
A子ちゃん(11歳)の絵が表すもの
心理学者である萩尾登美子は、大学の講義で「A子ちゃんの絵」を紹介します。
萩尾登美子は、直美が母を殺した後、直美のカウンセリングを行っています。
今野直美が幼少期に書いた「文鳥を守る樹の絵」が下記のものになります。

「文鳥を守る樹の絵」を見た萩尾登美子の考察は、以下の通りです。
上手く書けず何度も書き直した「口」
⇒A子ちゃんは母親から虐待を受けていた。「上手く笑っていないと殴られる」という気持ちを思い出してしまい、上手く書けなかった。
ドアがない「家」
⇒「自分の心に誰も入れたくない」という逃避願望が表れている。
枝の先が尖っている「木」
⇒トゲトゲしい攻撃心の表れ。
幹の中に住む「鳥」
⇒「自分より弱い生き物を守ってあげたい」という優しい心を隠し持っている。
<萩尾登美子の最終的な判断>
A子ちゃんの絵を見る限り、動物や子どもと触れ合う機会を与えれば、「更生の可能性が十分にある」と判断。

萩尾登美子は今野直美は「十分に更生の余地がある」と判断しましたが、実際、大人になった直美は3人もの人を殺害します。
事件後、「自分の診断は間違いだったのではないか」と萩尾登美子は思いなおします。
鋭く尖った木の枝は、攻撃心を表しているが、木の中の鳥は、弱い生き物を守りたいという優しい気持ちの表れだと当初、思われた。
しかし鋭く尖った木の枝は、弱い生き物を守るためなら、いくらでも外敵を傷つけることができる性格を表しているのではないか。

ユク
「絵」からすべてを判断するのは、とても難しいですよね。
直美は文鳥のちっぴや、武司、優太を守るために、3人もの人を殺しました。
文鳥を守っている木の枝のトゲトゲしさは、強い攻撃心を表している感じがします。
今野優太の絵の本当の理由
幼稚園で今野優太は母の日に送る絵を描きます。
しかしその絵は「自分たちの住む部屋を黒く塗りつぶした絵」でした。

その絵を見た、直美と担当保育士の春岡美穂は、以下のように考察します。
最近、得体のしれない男に付きまとわれている。
優太もその存在に気づき、そのストレスが表れた絵なのではないか?と考察。
今野優太は、母の直美に虐待されたのではないか?
その恐怖心が、自分たちの住む部屋を黒く塗りつぶすといった行為に表れたと考察。
幼稚園で「母の日にプレゼントする絵」を描くように言われた優太。
優太は前日に、直美にきつく怒られていた。
その反抗心から当初、直美ではなく「本当の母親」の絵を描こうとした。
本当の母親の唯一の記憶は、父が生前に連れて行ってくれた母親の墓石のみ。
そのため、本当の母親のお墓を描こうとした。
しかし、それは悪いことだと思いなおし、最初に描いた部分を塗りつぶして「部屋を覆う、もやの絵」が完成してしまった。
「部屋を覆う、もやの絵」の中で、優太と直美は満面の笑みを浮かべています。

ユク
直美への反抗心はありながらも、直美の愛情は十分に感じ取っているように見えますね。
三浦義春が山並みの絵を描いた理由
三浦義春は今野直美に殺される前に、わざと「山並みの絵」を描いています。
山並みの絵を描いた理由は、息子の今野武司を一人にしないため。
山並みの絵を描いたことで、今野直美のアリバイが成立し、逮捕されませんでした。

ユク
逮捕されなかったことで、その後、岩田や豊川の殺人事件が起こっていまいましたね。
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ブログ「七篠レン心の日記」を考察

ブログの内容は、当初、日常の他愛もないもの。
しかし、途中から雲行きが怪しくなります。
「七篠レン心の日記」のおかしな部分を、栗原の考察を中心に紹介します。
初投稿から見えてくる第三者の影
ブログの初投稿日は2008年10月13日。
その内容は、以下の通り。
タイトル:初めまして
- 顔写真をアップしたいけど、「ネットに個人情報を出すのは危ない」と言われたので、似顔絵をアップします。
- 元イラストレーターの奥さん、ユキちゃんに「ブログを始めることにしたから似顔絵描いて」とお願いして描いてもらった。
- 六つ年上の姉さん女房
レンに「ネットに個人情報を出すと危ない」と言った人物は誰なのか?
普通に考えれば、ユキですよね。
しかしこの内容の中に、栗原は第三者の影を感じ取ります。
レンはブログを始める前に、顔写真をアップしようとしたところ「ネットに個人情報を出すと危ない」と言われたと書いている。
そのため、ユキに「ブログを始めることにしたから似顔絵描いて」とお願いした。
しかし事前に「ネットに個人情報を出すと危ない」と言われた人にわざわざ「ブログを始めることにしたから」というのは、おかしい。
レンに「ネットに個人情報を出すと危ない」言ったのは、ユキ以外の誰かではないか。
切り分けたケーキの違和感
ブログ2回目の投稿は、結婚記念日にケーキを食べたという内容。
しかし、その文章の中にも違和感を感じる部分がありました。
タイトル:記念日
- 一周年の結婚記念日にケーキを食べた。
- 二切れ食べたら「食べ過ぎ!」と奥さんのユキちゃんに怒られた。
- 残り四切れは、冷蔵庫にしまって、明日食べます。
このブログの内容に対する栗原の考察は、以下の通りです。
レンがケーキを「二切れ」食べたら、ユキに食べ過ぎと怒られたという点から、ユキはケーキを「一切れ」食べたということになる。
そして、残った「四切れ」のケーキは冷蔵庫にしまったと書いてあったので、ケーキは「七等分」されたということになってしまう。
普通、ケーキを「七等分」にするだろうか?するなら「八等分」なのではないか?
このことからもう一人同居人がいたのではないか?という疑惑が生まれる。

ユク
ケーキの切り分けの違和感からの、栗原の考察は見事ですね。僕はまったく気づきませんでした。(汗)
ユキの妊娠と逆子の赤ちゃん
2008年12月25日に、ユキが妊娠。
その後2009年5月18日のブログから、徐々に暗雲が立ち込め始めます。
5月18日以降のブログの内容を抜粋します。
- 赤ちゃんが逆子だった。
- 一か月体操を頑張ったが逆子は直らない。
- 助産師に「逆子でも万全に準備すれば、安全に出産できる」と言われた。
- 暑い日が続いているから、ユキちゃんは「のどが渇いてしょうがない」と言っている。
この期間のブログ内容に栗原は、恐怖を感じます。
それは、助産師に「逆子でも万全に準備すれば、安全に出産できる」と言われた、という点。
通常なら逆子と判明した時点で、帝王切開が確定する。
それなのに、助産師は「安全に出産できる」と言っている。
ユキを取り巻く環境は異常。
ユキが変な絵を描き始める
出産予定日を目前に控えた2009年9月3日。ユキが突然、泣き始めます。
しかし理由は教えてくれず。
翌日の9月4日から、ユキは絵を描き始めます。
- サンタさんの恰好をした赤ちゃんの絵
- 赤ちゃんが成長した姿を描いた「未来予想図」
- 赤ちゃんが大人になった姿を描いた「未来予想図(女の子バージョン)」
- 赤ちゃんが大人になった姿を描いた「未来予想図(男の子バージョン)」
- 赤ちゃんが大人になった姿を描いた「未来予想図(おばあちゃんバージョン)」
最後のブログ
出産予定日前日の9月9日にブログが更新され、その約1ヶ月後の10月11日に「ユキが亡くなった」という内容のブログが公開されました。
その後一切ブログは更新されず、約3年後の2012年11月28日に最後のブログが更新されます。
ブログの最終更新日:2012年11月28日。
タイトル:一番愛する人へ
- 3枚の絵の秘密に気づいてしまったので、今日でこのブログの更新をやめる。
- あなたが犯してしまった罪がどれほどのものなのか僕には分からない。
- 許すことはできないけど、それでもあなたを愛し続ける。
最後のブログのおかしな部分を栗原は、以下のように考察しています。
最後のブログの文章に「今日でこのブログを更新するのをやめます」という部分がある。
「今日で〇〇をやめます」という文章は、直近まで続けていた人が書く文章。
しかし、レンのブログは約3年間、間隔があいてから最後のブログを更新している。
レンはずっとブログを更新していた可能性がある。「何者かによってブログが消されたのではないか」と栗原は考察。
実際に小説内でブログが消されていたのかは、書かれていませんでした。

ユク
栗原の言う通り、ブログの内容は消されていたのかもしれませんね。
ブログのハンドルネームの秘密
今野武司のブログ名は「七篠(ななしの)レン心の日記」
「七篠(ななしの)レン」このハンドルネームは今野武司(こんのたけし)の名前を分解して並べ替えたものです。

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ストーリーを考察

三浦義春を惨殺した理由
山中で遺体で発見された三浦義春は、かろうじて人の形をしていた、というくらいボロボロな状態で発見されました。
なぜ、そこまで必要以上に殴打したのか?
小説内では、「胃の中の消化物のみで死亡推定時刻を推測させるために、必要以上に殴打した」となっていました。
ただ直美の個人的な感情も、少なからず含まれていたのではないかと思います。

ユク
幼い時に母から守ろうとした文鳥の「ちっぴ」と武司を重ね合わせていたのかもしれません。
三浦義春が最期に伝えようとしたこと
死に際、三浦義春は直美に何か伝えようとしました。
しかし、言葉を発する前に、直美は喉を石で殴りつけた。
三浦義春はなんと言おうとしたのか?
義春は、直美が自分を殺そうとしていることを分かった上で、武司のために直美が犯人と疑われないように行動しました。
そのため、「武司を頼む」といった内容のことを、言おうとしたのではないでしょうか。
実は豊川信夫も三浦義春を殺そうとしていた
豊川信夫は、直美に「実は自分も三浦義春を殺そうとしていた」と告げます。
K山に三浦義春と登り、義春を殺そうと見計らっていた時に、直美がやってきて義春を殺害。
どうやってユキは直美の殺意に気づいたのか
ユキが直美の殺意に気づいたタイミングは、出産間近で突然、泣き出した時でしょう。
どうやって、直美の殺意に気づいたのかは小説内では描かれていません。

ユク
個人的な予想では、血圧を測る時に気づいたのだと思います。
血圧計って、測っている人にも数値が見えますよね。
そのため、実際の数値と直美が診断書に記入している数値が違うことに気づき、直美の殺意を知ったのではないでしょうか。
ユキはなぜ逃げなかったのか?
妊娠後、今野直美の殺意に気づいたユキは、逃げることもできたはずです。
ユキが取れることのできた行動は、以下の通り。
- 夫の武司に相談する。
- 警察に相談する。
- 自分の両親に相談する。
ユキは上記のどの行動も取れませんでした。
理由は以下の通りです。
1.夫の武司に相談する。
夫の武司は、母である直美のいいなりでした。
そのため、武司に相談しても味方になってくれない可能性がありました。
2.警察に相談する。
直美の犯行は「塩入りのカプセルをユキに飲ませる」といったもの。
直接的な犯行ではないため、警察も取り合ってくれない可能性が高いと思われます。
3.自分の両親に相談する。
ユキは自分の両親と絶縁状態にありました。
自分の両親に頼ることもできません。
精神面・生活面・金銭面で、誰にも頼ることができない。
ユキは逃げなかったのではなく、逃げられる所がありませんでした。
ユキはなぜ殺されたのか?
そもそも、何の罪も犯していないユキは、なぜ今野直美に殺されたのでしょう。
今野直美がユキに代わって、生まれてくる赤ちゃんを育てたいと思ったから。
なんとも身勝手な理由。
三浦義春や豊川信夫を殺した理由は、息子の武司を守るためでしたが、ユキの殺害だけは直美のエゴでした。
優太はどうなったのか?
直美が逮捕された後、今野優太は熊井勇によって育てられています。
熊井に優太の面倒を見るように言ったのは、病院で同日になった「謎の青年」です。(※謎の青年はおそらく栗原)
レンのブログ記事を削除したのは誰?
栗原の推理によると、レンのブログの一部は削除されていると言っていました。
一体、誰が削除したのでしょう。
もし、警察がブログの存在に気づき、ユキの「3枚の絵の秘密」に気づいたら、逮捕されてしまう。

ユク
だけど個人的には、武司が削除した可能性もあると思っています。
レンの最後のブログのタイトルは「一番愛する人へ」
最後のブログは、直美に向けて書かれたもの。
武司の「一番愛する人」は、ユキではなく直美だった。
そのため、直美をかばうために、武司が直美が出てくる部分を削除したのだと思います。
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登場人物を考察

『変な絵』の登場人物について、考察します!
それぞれ、どのような環境で育ち、どのような性格だったのか、深掘りします。
今野直美
今野直美の生まれ育った環境は、とても可哀想なものでした。
父の自殺に、虐待を繰り返す母親。
人は幼少期の環境がその後に大きく影響します。
直美は、文鳥の「ちっぴ」を助けるために母親を殺した。
この出来事が、その後に影響し3人の殺害につながってしまったと感じます。
母を殺したことで、ちっぴを守るという望みが叶った。
人を殺せば、望みが叶うという短絡的な思考になっていたのでしょう。

ユク
環境が直美を殺人鬼にしてしまったと思うと、直美もある種、被害者の一人な気がします。
今野武司
武司は度を越えた引っ込み思案。直美以外の人とまったくコミュニケーションを取りませんでした。
そんな武司に、三浦義春は厳しく接し、時に暴力をふるいました。
いわば「マザコン」だった武司は、母親の今野直美の言いつけを守りました。

ユク
亀戸由紀と交際する時でさえ、直美の許可をもらってから付き合ってましたしね。
そして、絶対的な存在である母によって、愛する妻を殺された。
直美を許すことはできないが、嫌いになることもできない。
相反する感情に、武司の苦しみは想像以上に大きかったでしょう。
三浦義春
三浦義春は誰に対しても厳しく接していました。
義春は、自分を犠牲にし、人のために動く。
しかし義春の行動は、自分勝手で相手の意見は聞き入れませんでしたね。
そのため、ありがた迷惑で三浦義春に近しい人たちは彼を嫌っていた。
ただし、死ぬ間際。
三浦義春の行動は褒められたものではありませんが、愛情深い人物ということは間違いありません。
栗原
小説の冒頭に登場する、大学のオカルトサークルに所属する「栗原」
そして最後の方で、熊井勇と病院の同室になった「青年」
この青年は「栗原」と記述はされていませんが、特長から確実に「栗原」ですよね。
そして、『変な家』に出てくる「栗原」とも同一人物だと思われます。
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『変な絵』無料で聴けるサービス
「変な絵」はオーディブルで聴くことができます。
聴き放題対象作品のため、追加料金なしで聴くことが可能。
1度、本で読んだ人もオーディブルで聴けば、一味違った感じで聴けるのでおすすめです。
ぜひ、オーディブルで聴いてみてください。
聴き放題本数 | 20万本 |
月額料金 | 1,500円(税込) |
支払い方法 | クレジットカード デビットカード ※現金や電子決済は不可 |
お試し期間 | 初めての入会で、30日間無料 (無料期間内に解約すれば、月額料金はかからない) |

ユク
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『変な絵』考察:まとめ
『変な絵』を考察しました。
今野直美の不運な生まれ育った環境。
そして、その犠牲になってしまった人々。
残された今野優太は、幸せに生きてほしいですね。

ユク
個人的にはとても面白かった小説です。
まだ、読んでない人は読んでみてください。
オーディブルでも「読む」とは違った感覚が楽しめるので、一度読んだ人もぜひ聴いてみてくださいね。
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